経済水準の高さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 05:29 UTC 版)
スロベニアは現在でも経済水準の高い国である。ユーゴスラビアから独立した当時、ユーゴスラビアの総人口の10%を少し切る程度の人口しか無かったスロベニアであるが、共和国別で見た雇用、所得、輸出の数値はユーゴスラビアの中で最も高く、最も経済水準の低いマケドニア共和国とスロベニアの間の国内の経済格差は8倍程度あったといわれている。 また、スロベニアは2004年5月1日に旧ユーゴスラビア構成国の先陣を切ってヨーロッパ連合(EU)に加盟したが、この時一緒に加盟した東欧7ヶ国とマルタ、キプロスと比べても、国民一人あたりの国内総生産はこれらの国の中でトップであった。又EU加盟時点での一人あたりの国内総生産で比べた場合、スペイン・キプロス・ギリシャに準じ、すでにポルトガルと同等であった。これは旧東欧諸国の中でも目を見張る経済成長の速さで、ユーゴスラビアから独立したときからこの経済成長の土壌が整っていた事を現している。この事からもスロベニアの経済水準の高さを窺い知ることが出来るであろう。 このように経済水準が高かった背景には、地理的にオーストリア、イタリア(特に北イタリア)に接しており、ユーゴスラビアの中でも最も西ヨーロッパに近く、当時から西側との経済交流が盛んであった事。勤勉を尊ぶ文化が醸成されていたこと。この2つがあげられる。特に勤勉を尊ぶ文化については、スロベニアはオーストリア・ハンガリー帝国内ではハンガリー王国領ではなくオーストリア帝国領に属しており、当時から勤勉を尊ぶドイツの文化等がオーストリアから流れ込んできていたことが挙げられる。スロベニア語は当時からあったが、地域によってはドイツ語を話すスロベニア人の方が多かった地域もある。これらの地域の中には第一次世界大戦後、住民投票によってオーストリア領に編入された地域もある。スロベニア人は今でもドイツ語とのバイリンガルが極めて多い。彼らがドイツ語を理解することもスロベニアの経済成長の一助となっている。 つまりスロベニアは、「ユーゴスラビアにおいては、政治の中心はベオグラードにあってセルビア人が主導しているが、経済はスロベニアが牽引している。スロベニア1国だけだともっと経済水準を上げられるのに、セルビアやマケドニアが足を引っ張っている。彼らと一緒の国の中にあるよりも、独立して西側と経済的な結びつきを深めたほうが得だ」と考えたのである。
※この「経済水準の高さ」の解説は、「十日間戦争」の解説の一部です。
「経済水準の高さ」を含む「十日間戦争」の記事については、「十日間戦争」の概要を参照ください。
- 経済水準の高さのページへのリンク