約分と消約の計算の書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 13:50 UTC 版)
「フワーリズミー」の記事における「約分と消約の計算の書」の解説
アラビア語: الكتاب المختصر في حساب الجبر والمقابلة hisāb al-jabr wa'l muqābala, ヒサーブ・アル=ジャブル・ワル=ムカーバラ(英語版), 820年 最古の代数学書のひとつ。のちにラテン語に訳され、アル=ジャブルという語は、英語のアルジェブラ(代数学)の語源となった。jabrは「バラバラのものを再結合する」という意味の jabara を語根とする語で「移項する」を原義とし、方程式の両辺に等しいものを加えて負の項を消去する過程を表している。また、a'l muqābalaは「縮小」を意味し、方程式の両辺の正の数から同じ数を引いて同類項を消去する過程を表している。 この著作にはプラス記号、マイナス記号、アラビア数字は使用されていない。未知数は根 (ジャズル jadhr) あるいは「もの」(ジズル jidhr) と表現し、また平方はマール( mal。元は財産を表す語 )、立方はカーブ( kab )と表現した。フワーリズミーはこれらの言葉を用いて、方程式を6つに分類した。 根が平方に等しい:bx = ax2 根が数に等しい:bx = c 平方が数に等しい:ax2 = c 平方と根が数に等しい:ax2 + bx = c 根と数が平方に等しい:bx + c = ax2 平方と数が根に等しい:ax2 + c = bx a、b、c は正の整数にあたる。フワーリズミーは、これらを解く公式を与え、いくつかには幾何学的な説明を加えている。 本書の後半には、イスラーム法の遺産相続についての問題が書かれている。配偶者や血縁以外の第三者にも遺産がある場合の分配法が複雑だったため、法律面でもフワーリズミーの著作は重視された。
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