糸つむぎ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 05:46 UTC 版)
繭は重曹を加えた湯で2時間ほど煮込み、柔らかくした後たらいに移し、ぬるま湯の中で5 - 6粒ほどをこぶしで広げながら重ねて1枚の真綿を作る。中の蛹が生きた状態で煮たものを「生掛け糸」と呼び、ツヤのある丈夫な糸になるというが、以前は保冷技術が未発達だったため希少品であった。乾燥させた真綿約50枚(約94グラム、1匁)を1秤とし、約7秤で1反の結城紬を制作する。 真綿をさらに両手で広げ「つくし(竹筒にキビガラを取り付け台座に立てたもの)」と呼ばれる器具にからみつけ、その端から糸を引き出す。片方の手で糸を引き、唾液をつけたもう片方の指先で真綿を細く捻るようにしてまとめ糸にする。均一な太さを保つためには熟練した技が必要であり、特に40 - 50歳の女性のつむぎ手の唾液には粘りがあり、照りのある良い糸ができるという。引いた糸は「おぼけ」という容器に溜めてゆき、一秤分の真綿が全て糸になった状態を1ボッチと呼ぶ。個人差はあるが1ボッチの糸つむぎにかかる日数は7 - 10日、長さは約4 - 5千メートルである。その後、糸あげと呼ばれる作業で枷の状態にする。本場結城紬と認定される無撚の真綿手つむぎ糸を取れるようになるには10年以上の経験が必要となり、後継者は育っていない。
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