管弦楽法と楽器編成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 05:07 UTC 版)
ロマン派音楽においても楽器法の開発は続けられた。ベルリオーズのような作曲家はかつてない手法で管弦楽法を施し、改めて管楽器を目立たせた。従来は滅多に利用されなかったピッコロ・コーラングレ・オフィクレイド・チューバ・ハープのような楽器を取り入れて、標準的とされるオーケストラの規模は膨れ上がった。ワーグナーとブルックナーはワグナーチューバも重用した。 より大編成のオーケストラの利用に加えて、ロマン派音楽の特色として挙げられる点は作品が長くなりがちだったことである。ハイドンやモーツァルトの典型的な交響曲は演奏時間が25分程度しかないが、ロマン派音楽の開始に位置付けられることもあるベートーヴェンの《交響曲第3番「英雄」》は48分程度の長さである。とりわけブルックナーやマーラーの交響曲において大作化の傾向は頂点に達した。尚、マーラーの《交響曲第8番》では膨大な人数の合唱と演奏者が指定されたことにちなんで、「千人の交響曲」とも呼ばれた(マーラーはこの俗称を認めていない)。 ロマン派音楽の時代は楽器演奏の名人の台頭する時期でもあった。ヴァイオリニストのニコロ・パガニーニは19世紀初頭のスターのひとりであったが、その名声は大抵の演奏技巧と同じくカリスマ的資質に由来するものと見縊られていた。リストは非常に有能な作曲家であっただけでなく、たいへん人気の高い名ピアニストでもあった。このようなヴィルトゥオーソの出演する演奏会は、作曲家よりも大人数の聴衆を呼び込みがちであった。
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