第3部 物品売買
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/06 08:49 UTC 版)
「国際物品売買契約に関する国際連合条約」の記事における「第3部 物品売買」の解説
第3部は、売主・買主の義務、及び、義務違反があった場合の救済方法について規定する。 売主に関しては、引渡し場所、引渡義務、書類交付義務、契約に適合した物品を引渡す義務、いわゆる瑕疵担保責任が規定されている。 また、売主の契約違反に対する救済手段としては、履行請求、代替物請求、修補請求、契約解除、代金減額請求、損害賠償が規定されている。 買主に関しては、代金の支払をする場所、代金支払義務、受領義務などが規定されている。 また、買主の契約違反に対する救済手段として、物品の引渡請求、契約解除、損害賠償などが規定されている。 このほか、危険負担に関する規定もおかれている。そこでは、売買契約が運送を予定する場合(67条)、運送途上にある物品を売買した場合(68条)、それ以外の場合(69条)に分けて規定されている。それぞれ、運送人への物品交付時、契約締結時、物品の引取時(又は買主が物品の引取をしないことによって契約違反となった時点)において、危険が買主へ移転するとしている。危険の移転につき、観念的・抽象的な事象(物品に対する所有権・実質的支配の移転など)ではなく、具体的事象を基準として採用することにより、明瞭で、実務にも適合的な規定となっている。 もっとも、本条約は任意法規性を有するのであるから、当事者間の合意、特に実務上しばしば用いられるインコタームズ (INCOTERMS) によるとの合意があれば、そちらが優先されることになる。 以上に加え、利息、免責、及び、物品の保存についての規定もおかれる。免責については、各国・各論者において非常に多義的に用いられている「不可抗力」(acts of God) の文言をあえて用いずに規定されている点が重要である(79条1項参照)。
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