第五の警察隊長の語った物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第五の警察隊長の語った物語」の解説
第五の警察隊長ヌール・アル・ディーンは次のように語った。 昔、ある国の帝王(スルタン)が大臣に命じて、「余の機嫌が良ければ怒らず、怒っておれば喜ばぬ印章」を彫るように言ったが、大臣も都の印章職人たちも、どうすれば良いか分からなかった。大臣が困り郊外を歩いていると、農夫と出会い、農夫の娘ヤスミーンが「苦にせよ楽にせよ、あらゆる情はアッラーより我らに来る」と印章の文を教えてくれた。王は喜び、ヤスミーンをお妃にした。 しかし、王宮に入ったヤスミーンは体調を崩し、医師の見立てで、田舎から都に環境が変わったことが原因とのことで、海岸に御殿を建てて住むことになった。体調が回復したヤスミーンが窓の外に漁師を見つけ、網を打つように命じると銅の瓶が取れたので金貨で買い取ろうとすると、漁師は金貨よりキスを求めたが、そこに通り掛かった帝王が早合点し漁師を殺し、ヤスミーンを都から追放した。 ヤスミーンはある町で行き倒れるが、通りがかった商人に助けられた。しかし、商人の妻が嫉妬し、ヤスミーンを屋上の鳥小屋に監禁してしまった。ヤスミーンが漁師の取った銅の瓶のふたを開けると、水差しと食事と10人の女の白人奴隷が出てきて、踊りを踊り、黄金の詰まった財布を1人10個ずつ置いて瓶の中に戻って行った。瓶を開けるたびに同じことが起きたので、鳥小屋は金の財布であふれそうになった。商人はヤスミーンが鳥小屋に監禁されていることを知り、ヤスミーンに謝罪し解放し、妻を罰した。 ヤスミーンは金で豪華な城を建て、男装して城の主として振る舞った。帝王は豪華な城の出現に驚き、街に来て城の主と会見したが、ヤスミーンとは気づかなかった。ヤスミーンは帝王の前で瓶のふたを開け、瓶の魔法を見せてやり、この瓶が欲しければ身を売るようにと言うと、帝王は承知し裸になった。ヤスミーンは正体を明かし、「この瓶のためにご自身はそこまでするのに、漁師がキスを求めたくらいで殺すとは」と言った。帝王とヤスミーンは仲直りし、幸せに暮らした。
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