符号理論の応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 17:00 UTC 版)
符号理論におけるもう1つの課題は、同期を可能とする符号の設計である。例えば、位相変移(phase shift)を容易に検出・訂正できるよう符号を設計すれば、複数の信号を同じ通信路で同時に送ることができる。例えば、携帯電話で使われている符号分割多元接続(CDMA)符号がある。その詳細は本項目の範囲外だが、大まかに言えば、各携帯電話に特別な符号語が割り当てられる。転送時、その符号語を使って音声を表すビット列をスクランブル(暗号化)する。受信機では、その逆を行って暗号解読する。このような符号語の特性により、同時に複数の携帯電話がそれぞれ個別の符号語を割り当てられ、通話可能となる。1つの受信機から見れば、他の通話の信号は低レベルなノイズとしか認識されない。 もう1つの一般的な符号のクラスとして、自動再送制御(ARQ)符号がある。この場合、送信機は長いメッセージにパリティビットを付与する。受信機はメッセージとパリティビットが一致するかを調べ、一致しない場合に送信機にメッセージの再送を要求する。ごく単純なものを除いて、Wide Area Networkで使用されるプロトコルには必ず ARQ が使われている。例えば、SDLC (IBM)、TCP、X.25 などである。この分野では、拒絶されたパケットと新たなパケットの一致問題という部分でも研究が進んでいる。つまり、新たに受信したパケットが再送されたものか、それとも別の新しいパケットなのかを識別する問題である。一般にパケットに番号を振ることで対処するが、プロトコルスタックがある場合、再送を制御する階層が異なる場合がある。TCP/IPは両方の技法を採用している好例である。コネクションのある場合、TCP/IPはARQ符号による再送を行う。しかし、コネクションがない場合、ARQ は使われず、アプリケーション層で(必要に応じて)再送を制御しなければならない。
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