竹内利美による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/13 05:10 UTC 版)
「民俗資料の分類」の記事における「竹内利美による分類」の解説
竹内利美は、「民俗資料の性質とその収集方法」(1960年)のなかで、民俗資料を、 歴史的・過去的資料記録資料(陳述的資料) 造形物資料(物的資料) 現地的・現在的資料直接的資料(観察による資料) 間接的資料(面接聴取による資料) 測定的資料(用具による実験にもとづく資料) と分類している。このうち、造形物資料(A-2)は実物そのものが残存するものであり、記録資料にくらべ直接的であり、確実性と具象性を有するものであり、それ自体としてはその意味を説明するところがないと評している。民具をはじめとする有形民俗資料がこれにあたり、考古資料につらなる性格のものである。これに対し、記録資料(A-1)は過去の事実そのものは伝存しないが、文字などの象徴を通じて過去の事物を説明し記録されて今に残るものであり、文献資料につらなる性格のものである。ただし、両者とも、その伝存は偶然的、限定的なものであり、記録資料の場合は、歴史学における文献資料同様、その来歴を批判して資料的価値を弁別する手順(いわゆる史料批判)が重要となる。 もとより A だけでは、民俗を探究するうえで不充分この上ないことは言うまでもない。B の各資料が必要とされるゆえんであるが、これは対人交渉を通じて、調査者が目的に即して一定の事実を取捨選択して構成していって初めて得られる資料である。 竹内の分類は、エルンスト・ベルンハイム(Ernst Bernheim、1850年 - 1942年)が『歴史とは何ぞや』で示した史料(歴史資料)の分類やジョージ・A・ランドバーグ(George Andrew Lundberg、1895年 - 1966年)が『社会調査』で示した社会調査法における供給源による分類を採用して、それを民俗資料に応用したものであった。 ここでは、伝承を資料として発展してきた民俗学が、その研究対象を過去の生活文化の推移全般へと広げていったことがみてとれる。
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