神秘と陶酔
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 03:44 UTC 版)
15世紀の詩人ジャーミーは、ハーフェズがスーフィーの誰かの弟子であったかどうかは定かではないが、ハーフェズ詩集はスーフィーが読むに値する最良の本であると述べた。近現代の学者の間でも、ハーフェズがなにがしかのスーフィー教団に属していたかどうかという点については意見が分かれる。しかし、ハーフェズを神秘主義思想家(ʿāref)とみなす者は多い。ハーフェズの抒情詩は暗示に富み、詩中にあらわれる「酒」「罪」「音楽」「喜悦」といった言葉が、慎重に選び抜かれた超越的存在のシンボルと解されたり、グノーシス主義的観点から解釈されたりしてきた。イラン・ペルシア文学者の岡田恵美子は、ハーフェズの抒情詩が一見耽美的に見えても、その真意は「神秘主義の陶酔境を巧みな比喩をもって表現したもの」であると述べた。 現代イランでは、ハーフェズ詩集を使った書物占いが盛んである。この占いは、ハーフェズ詩集を手に取り、適当なところでページを繰る手を止めて、そのページに書かれている対句から隠された意味を読み取ろうとするものである。イランの民間では、冬至の夜(シャッベ・ヤルダー)の過ごし方としてとても人気のあるのがこのハーフェズ占いである。民間伝承によると、冬至の夜は最低3回、この占いをしないとハーフェズが怒ると言われている。
※この「神秘と陶酔」の解説は、「ハーフェズ」の解説の一部です。
「神秘と陶酔」を含む「ハーフェズ」の記事については、「ハーフェズ」の概要を参照ください。
- 神秘と陶酔のページへのリンク