示相化石
【英】: facies fossil
それを含む地層の堆積環境{たいせきかんきょう}を明確に推定できる化石。一般に適応範囲の狭いものほど限定された堆積環境を示す化石になりうる。例えば造礁性珊瑚{ぞうしょうせいさんご}が好例である。 |

示準化石
示相化石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 13:46 UTC 版)
示相化石(しそうかせき、facies fossil)とは、その化石が含まれる地層の堆積環境を明確に示す化石のことである[1]。
化石の元となる生物には気温・水温・水深など生息環境が限定されているものもいる。そのような生物の化石の存在により、その地層が堆積した当時の環境(古環境)を推定できる。例えば、サンゴの化石が産出した場合、その地層は温暖な浅海域で堆積したことが分かる[2]。また、有孔虫などの微化石も環境によって生息する種が変化するため、示相化石として役立つ。石炭紀やペルム紀の地層から産出するフズリナはサンゴなど浅海性の化石と共産することが多く、示相化石としての価値が高い[3]。
また微化石は酸素の安定同位体比から古水温を推定可能とする材料でもあり、新たな形の示相化石でもある[4]。
示相化石の条件
化石が示相化石として用いられる条件として、以下のものがあげられる。
示相化石を判断する際に重要なのが、その化石が現地性のものであるか、という点である。ある生物が死亡した後、流水や海底地すべりなどにより堆積物中に取り込まれる過程で本来の生息場所から運搬された場合(すなわち異地性の場合)、その化石は示相化石としては役に立たない。現地性の化石と異地性の化石の区別は容易ではないが、破砕などされておらずよく保存されている化石は現地性の化石の場合が多い。また、陸上生物の化石が海洋生物の化石と共産した場合には、前者は海へ流された異地性の化石と判断できる[5]。
出典
- ^ 長谷川四郎、中島隆、岡田誠『フィールドジオロジー2 層序と年代』共立出版、2006年1月25日、19頁。ISBN 978-4-320-04682-5。
- ^ a b c 在田一則、竹下徹、見延庄士郎、渡部重十『地球惑星科学入門 第2版』北海道大学出版会、2015年3月10日、131-132,187頁。 ISBN 978-4-8329-8219-2。
- ^ a b 『ニューステージ 新地学図表』浜島書店、2013年11月5日、142-143頁。 ISBN 978-4-8343-4015-0。
- ^ “示準化石と示相化石”. 国立科学博物館. 2021年6月23日閲覧。
- ^ “示相化石について”. 倉敷市立自然史博物館. 2021年6月23日閲覧。
関連項目
示相化石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 00:08 UTC 版)
詳細は「示相化石」を参照 特定の環境(気候、水深、水温、地形など)に限って棲息していた特定の種の化石は示相化石と呼ばれ、地層が堆積した古環境の検討や特定に用いられる。示相化石は、サンゴ(暖かく澄んだ浅い海)やシジミ(川の河口付近)などがわかりやすい例であるが、実際にはすべての化石が多かれ少なかれ示相化石としての意味をもつものであり、とくに植物化石は、古気候などを知る重要な資料となっている。こんにち、第四紀における気候の変遷はそれぞれの種の植物化石の消長によって詳細にたどられている。
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