サンゴ礁の構成と化石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:38 UTC 版)
サンゴ礁を形成するのは、必ずしも造礁サンゴだけではない。他にも石灰質の骨格を大きく発達させるものがあれば、サンゴ礁を形成する要素となり得る。現在のサンゴ礁では、紅藻類である石灰藻が優占する場所もある。また、必ずしもサンゴ礁の形成には関わらないものの、石灰質の殻を作るため、サンゴ礁での石灰質の蓄積に関わるものとして、二枚貝類であるシャコガイや、大型の有孔虫であるゼニイシやホシズナが多数生息している。ホシズナはサンゴ礁の砂浜の構成要素となり、場所によってはほとんどホシズナだけの砂浜が見つかる。化石としてもサンゴ礁の化石は古生代以降、たびたび出現している。具体的には、造礁サンゴの化石を含む石灰岩の形を取る。 現在のサンゴ礁は熱帯を中心とする、温暖で透明度が高く、浅い海域にのみ出現する。この理由は、造礁サンゴが褐虫藻という単細胞藻類を共生させているからである。これは単なる偶然や、栄養上の必要性だけではなく、褐虫藻の光合成があってこそ、サンゴの石灰質の骨格が、これだけの成長速度を維持できるらしいと考えられている。ちなみに、シャコガイやホシズナも褐虫藻を共生させている。このことから、過去のサンゴ礁でも似たような状況があったものと考えられる。そこで、サンゴ礁の化石が出た場合、その時代のその場所は、熱帯か亜熱帯の、温暖で浅い海域であったと判断することができる。このように、その化石の発見によって、その時代のその場所の環境が判断できる場合、そのような化石を示相化石とよんでいる。 ただし、サンゴ礁の形成は沈降説にも述べられているように、島の沈降と海洋プレートの移動が大きく関わっている。サンゴ礁の形成される海域と、化石となって発見される地点が大きく変わる可能性や、他の地層の中に取り込まれて出現する可能性も考えなければならない。
※この「サンゴ礁の構成と化石」の解説は、「サンゴ礁」の解説の一部です。
「サンゴ礁の構成と化石」を含む「サンゴ礁」の記事については、「サンゴ礁」の概要を参照ください。
- サンゴ礁の構成と化石のページへのリンク