砲塔のレイアウト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 03:09 UTC 版)
海軍の用語としての「砲塔」は伝統的に、砲の全機構が回転し、円柱形の基部(トランク)が甲板を貫いて艦内に伸びているものだけを意味する(訳注:基部が甲板を貫通していないものを、本来の砲塔ではないという意味で日本では「砲塔式」と呼ぶことがある)。上甲板より上に出ている回転部分は砲室(gunhouse)と呼ばれ、砲の機構と操作員を保護するとともに、ここで砲弾の装填が行なわれる。砲室は回転するローラーの台座に乗っており、物理的に艦体に固定されてはいないため、もし艦が転覆した場合には艦体から落ちてしまうはずである。砲室の下からは円柱形の基部が伸びており、弾薬の取り扱いを行なう作業区画と、艦内の弾薬庫・火薬庫から砲弾と装薬を上げる昇降機が入っている。 昇降機(揚弾薬機)には、砲弾と装薬をまとめて上げるもの(上のイギリス艦砲塔の動画を参照)、別々に上げるもの(アメリカ艦砲塔の断面図を参照)がある。作業区画と基部は砲室とともに回転し、まとめて装甲を施した防護バーベットの中に収められている。バーベットの下端は主装甲甲板(動画の中の赤い線)にまで及ぶ。砲塔のいちばん下には揚弾薬室があり、ここで弾庫・薬庫から出した砲弾と装薬が昇降機に乗せられる。 揚弾薬装置と昇降機は、砲塔基部の弾庫・薬庫から砲弾と装薬を運搬する複雑な機械である。砲弾の重量が1トン前後にもなることを考えれば、昇降機は強力かつ迅速に砲弾を運搬できなければならない。動画に示した15インチ砲塔は、装填と発砲のサイクルを1分間で完了できるようになっている。 装填システムには一種の連動機構が付いており、砲室から弾薬庫までの経路が絶対に一度に開くことのないように、つまり爆炎が弾薬庫まで届かないように(理論上は)なっている。砲塔周辺の区画を兵員が移動するには、防炎扉と昇降口を開閉して行なう。大口径砲では通常、全動力式または半動力式の押し込み機によって、砲尾に重い砲弾と装薬を押し込む。砲弾を押し込むためには昇降機と砲尾が一列に並ばなければならないため、通常、砲弾を装填できる仰角の範囲には制限がある。つまり砲はいったん装填仰角に戻り、装填され、その後再び照準仰角に戻るのである。動画に示した砲塔では、押し込み機が砲を収める架台に固定されているため、より広い範囲の仰角で装填が可能になっている。
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