砂糖生産の改革(2005年 - 2006年)
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「共通農業政策」の記事における「砂糖生産の改革(2005年 - 2006年)」の解説
共通農業政策の対象となっている品目にテンサイから生産される砂糖がある。EUは年間1700万メートルトンを生産する世界最大のテンサイ生産地域である。この量はサトウキビから砂糖を生産しているブラジルとインドという2大生産国と同水準である。 1992年のマクシャリー改革や1999年のアジェンダ2000では、砂糖はその対象に含まれていなかった。また砂糖については Everything But Arms(武器以外すべて)措置のもと、後発開発途上国に市場参入を段階的に認めていた。2005年、EU加盟国の農相は2006年から4年にわたってテンサイの最低価格を39%引き下げる計画を発表した。またロメ協定の砂糖にかんする議定書のもとで、アフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP諸国)のうち19か国がEUに砂糖を輸出し、EU市場の砂糖価格を下落させている。 これらの措置は2005年4月28日に世界貿易機関 (WTO) の上級委員会によって示されたEUの砂糖施策に対する決定に従ったものである。 2006年2月21日までに、EUは砂糖にかんする補助金制度の改革実施を決めている。砂糖の保証価格を36%引き下げることにしており、これによってヨーロッパでの砂糖生産計画量が大幅に減少することになった。EUでは、これは40年の歴史を持つ共通農業政策の下では初となる、砂糖にの本格的な改革であるとしている。 この政策転換の狙いは、新興経済国によるEU市場への参入を容易かつ有益的なものにするということである。しかしこれについては、利他的な動きでも理想的な転換でもなく、EUはただEUの砂糖の不当廉売に対するオーストラリア、タイ、ブラジルからの訴えを支持しているWTOの思惑にしたがって行動しているに過ぎないという批判がある。またこのほかに、EU加盟国から優遇措置を受けているような国はACP諸国のような旧宗主国・旧植民地という関係であることが多く、このような国は不利益を被る側にあるという批判もある。
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