督促異議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 07:45 UTC 版)
支払督促に対して、債務者は、異議を申し立てる(「督促異議の申立て」)ことにより、手続を訴訟手続へと移行させることができる。債権者が主張する請求原因に異論があったり、請求債権の存在自体には異論がなくとも手元資金の不足により一括弁済が困難であったりする債務者は、督促異議を申し立てて訴訟手続の中で改めて言い分を述べることになる。 もっとも、督促異議の申立てに当たってその理由を開示する必要はなく、支払督促により命ぜられた支払の全部または一部を直ちに履行することはできない旨を、支払督促を発した裁判所書記官が所属する簡易裁判所(民事訴訟法386条2項)に申し立てるだけでよい。ただ、審理促進のためとして、言い分の骨子を明らかにするよう求められることが多い。 後述する仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う(同法390条)。 仮執行の宣言後、仮執行宣言付支払督促の送達を受けた日から2週間が経過するまでの間に適法な督促異議の申立てがあったときは、手続が訴訟へと移行するだけで、支払督促は効力を失わないから、債権者は、移行後の訴訟が係属中であっても、いつでも強制執行の手続をとることができる。債務者は、強制執行が開始された場合は、裁判所が定める請求金額の3分の1ほどの担保を供託などして、強制執行停止決定を係属中の裁判所から得る必要がある。 仮執行宣言付支払督促の送達を受けた日から2週間が経過したときは、督促異議の申立てをすることができない(同法393条)。この場合は、民事執行法の請求異議の訴えで争うほかないし、同時に強制執行停止決定を得る必要がある。
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