相州箱根湖水とは? わかりやすく解説

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そうしゅうはこねこすい〔サウシウはこねコスイ〕【相州箱根湖水】

読み方:そうしゅうはこねこすい

葛飾北斎による風景版画シリーズ富嶽三十六景」の作品の一。箱根芦ノ湖から見え富士山描いたもの。湖畔には箱根神社が建つ。


相州箱根湖水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/06 15:57 UTC 版)

『相州箱根湖水』
作者葛飾北斎
製作年1830年天保元年)から1834年(天保5年)ごろ[1][注釈 1]
種類多色刷木版画
寸法25.2 cm × 37.3 cm (9.9 in × 14.7 in)

相州箱根湖水」(そうしゅうはこねのこすい)は、葛飾北斎名所浮世絵揃物『冨嶽三十六景』全46図中の1図[3]。落款は「前北斎為一筆」とある[4]

概要

相州箱根湖水とは秋里籬島名所図会東海道名所図会』巻之五に登場する名称で、神奈川県足柄下郡箱根町にある芦ノ湖の別名である[5]。画面中央に大きく湖が描かれ、その湖畔には箱根神社箱根駒ヶ岳が配置され、その奥に富士山が顔を覗かせている[5]。富士山の左側は配置から三国山と思われる[6]。湖は凪ぎ、人の姿は見えず、すやり霞の効果によって画面全体に静謐で神秘的な雰囲気が漂っている[7]

河村岷雪『百富士』巻三「箱根湖水」

芦ノ湖越しに富士山を左後方に眺めるという構図は河村岷雪の『百富士』「箱根湖水」で採用された構図であり、画題も共通していることから、本作品はその影響を強く受けたものと考えられている[7]。『冨嶽三十六景』の作品の中でも空間の広がりが見えず、平面性が強調された作品となっており、それが箱根権現の神聖性を表現するための意図的な狙いであるのかどうかについては意見が分かれている[7][8][9]。版を重ねるにつれて駒ヶ岳の陰影や山肌が強調されるようになっている[8]

脚注

注釈

  1. ^ 刊行年については柳亭種彦が出版した『正本製』に掲載された広告を根拠とする天保2年(1831年)に刊行したとする説、エドモン・ド・ゴンクールの著した『北斎』の記述を根拠とする文政6年(1823年)から文政12年(1829年)に刊行したとする説などもある[2]

出典

  1. ^ 北斎年譜”. 島根県立美術館の浮世絵コレクション. 島根県立美術館. 2022年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月3日閲覧。
  2. ^ 磯崎 2021, p. 124.
  3. ^ 日野原 2019, pp. 134–135.
  4. ^ 日野原 2019, p. 212.
  5. ^ a b 日野原 2019, p. 136.
  6. ^ 冨嶽三十六景《相州箱根湖水》”. 文化遺産オンライン. 日本文化庁. 2024年8月5日閲覧。
  7. ^ a b c 日野原 2019, p. 137.
  8. ^ a b 版画芸術 2024, p. 43.
  9. ^ 博物館資料のなかの『富士山』”. かいじあむ. 山梨県立博物館. 2024年8月5日閲覧。

参考文献



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