生化学的活性と機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 02:45 UTC 版)
長年にわたってPZPはプロテアーゼインヒビターに分類されてきたが、2016年の論文では、ヘルパーT細胞の調節因子または細胞外シャペロンとしての役割が示唆された。しかしながら、より一般的な観点からは、PZPの具体的な生物学的意義はいまだ明らかではない。 PZPはα2Mと類似した役割を果たすことが早くから主張されているが、α2Mの方がより多くのプロテアーゼに対して阻害活性を示す。これに対し、PZPとPAI-2(英語版)は明確な構造的類似性は見られないものの機能的共通性がみられ、細胞外液で相乗的または相補的に機能する。 妊娠時には、PZPとPP14(英語版)(placental protein-1)が協働してTh1細胞の活性化を阻害している可能性がある。この場合、結果的に母親の免疫系が胎児を攻撃するのを防ぐこととなる。PZPの免疫調節機能について示唆されている機構としては、PZPがIL-6、IL-2、TNF-αなどのリガンドを非共有結合的に隔離することなどが提唱されている。なお、PZPの阻害活性はベイト領域などの多型の影響も受けるため、PZPのレベルと活性は直接相関しない可能性がある。 PZPがキモトリプシン様酵素など細胞内のプロテアーゼ活性の制御に関与していることを支持する十分な証拠は得られていない。PZPは二量体型のα2Mとともに炎症性サイトカインや誤ったフォールディングを行ったタンパク質の除去を補助していると考えられている。PZPは四量体型α2Mと比較して高い疎水的相互作用性を持つため、ホルダーゼ(英語版)型のシャペロンなどとしての機能が示唆されている。 PZPと組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)の間の相互作用はα2Mとt-PAの間の相互作用よりも速い。t-PAは血漿線溶系の主要なセリンプロテアーゼであるため、PZPは妊娠時の線溶系プロテアーゼの制御に関与している可能性がある。
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