環境と多種競合への適応度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 15:43 UTC 版)
「植物内生真菌」の記事における「環境と多種競合への適応度」の解説
内生真菌が様々な利益を宿主に与えることは、宿主に有利な自然選択圧をもたらしている可能性がある。ネオティホディウム属はイネ科と内部共生し、激しい種間競争での宿主の適応度を高める。以前は、草食動物からの攻撃に対する内生及び外生真菌による宿主の適応度の向上は、主に宿主の生育促進によると考えられていた。しかし、現在、植物の栄養素組成の変更と抵抗性の誘導が宿主の競争力と繁殖力の向上効果において非常に重要な因子であると考えられている。物理的化学的手段で自身を保護しない植物は内生真菌と共生することで生存率を高める。 草食動物の出現率が中から高程度の環境では、内生/外生真菌との宿主は非宿主よりも優勢であることは一般的な傾向である。そして、草食動物の出現率が高いほど、真菌との共生率は高くなる傾向にある。また、草食動物による被害率が低から中程度でも共生率は増加する。 一般的に、真菌と宿主植物との適応度が密接に関連している条件では真菌は病原性よりも相利共生を選択する。内生真菌の垂直伝播がその条件にあたり、内生真菌は種子の防御に働く。なぜなら、種子は繁殖率と競争率の両方において重要であり、種子の発芽率と実生の生存率は植物とその感染真菌の適応度を左右するためである。また、同種植物が密集し、真菌の水平伝播が生じる場合も内生真菌による種子の防御効果が見られる。微生物との共生は植物自身の防御機構よりも種子の防御に重要であり、種子の生存率により大きな影響を与える因子である可能性がある。 宿主非特異的な内生菌は新しい宿主に対して間接防御効果を与える確率のほうが高い。植物の地上部および地下部と真菌との共生関係は互いの多様性を促し得る。植物と共生真菌との相互作用の変化は、草食動物を含む生態系に強い影響を与えるかもしれない。植物種間の外来種と在来種の競争において、真菌との相互作用と病原真菌の役割が重要である。
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