現在の研究状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 16:34 UTC 版)
テモゾロミドと他の医薬品との組み合わせによる抗癌作用増強の研究が、実験室研究や臨床試験で実施されている。一例として、クロロキンを併用することで神経膠腫への効果増強が見られている。実験室レベルでは、テモゾロミドが緑茶の成分である没食子酸エピガロカテキン(EGCG)共存下で脳腫瘍細胞に対する殺細胞効果を増強することが報告されたが、脳腫瘍患者ではその有効性を確認できなかった。さらに最近では、新しい酸素拡散増強剤(英: oxygen diffusion-enhancing compound)であるクロセチンナトリウム(TSC)を併用したテモゾロミド-放射線併用療法の前臨床試験が実施され、臨床研究が進行中である。 MGMT遺伝子を発現した腫瘍細胞がテモゾロミド耐性を示す事から、AGT阻害薬O6-ベンジルグアニン(英語版)(O6-BG)が抵抗性を抑制し、薬物の治療有効性を改善する可能性について研究された。その結果、in vitroおよび動物実験in vivoでO6-BG存在下で腫瘍細胞に対してテモゾロミドが著効したが、第II相臨床試験の結果は一様ではなかった。テモゾロミド耐性異型性グリオーマに対しては有効性が確認できたものの、テモゾロミド耐性多形性膠芽腫に対しては感受性の回復が見られなかった。 造血幹細胞にMGMTを高発現させて患者に移植した例もある。この時患者に通常以上のテモゾロミドを投与しても、患者の血液細胞は減少しなかった。 高グレードの神経膠腫に高用量のテモゾロミドを使用しても毒性は低かったが、有効性は通常用量の場合と同等であった。
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