現在の仮符号の草創期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/23 16:55 UTC 版)
19世紀の後半にはいくつかの異なる記述法や記号が用いられたが、現在の形式は1911年の論文誌 Astronomische Nachrichten (AN) に最初に登場した。小惑星の発見報告を受理すると AN が新しい番号を割り当て、その新天体の軌道が計算されると正式名が命名されるという方法だった。 最初、仮符号は発見年と発見順を示す英字(I は使わない。また代わりに J が不使用とされる場合もあった)からなっていた。この方式では、(333) バーデニアは 1892 A、(163) エリゴネは 1892 B などと仮符号が付けられた。しかし1893年になると小惑星の発見数が増加したため、発見年の後ろのアルファベットを2個にするように命名法を修正せざるを得なくなった。すなわち、AA, AB, ... AZ, BA という順番で英字が用いられるようになった。この2個の英字の系列は年が変わっても初めに戻らない方式だった。つまり、1893 AP の次は 1894 AQ という具合だった。1916年にこの英字は ZZ に達した。これに続く符号として3文字の命名法は使われず、次の小惑星は AA に戻って 1916 AA と命名された。 写真乾板で撮影が行なわれてから、その乾板の上で実際に小惑星が発見されるまでにはかなりの時間がかかる場合がある(フェーベの発見を参照のこと)。また、実際に発見されてから発見報告が(遠隔地の天文台から)中央機関に送られるまでにも時間がかかることがある。そのため、発見報告を時系列順に並べ替える必要が生じることとなった。現在でも、新天体の発見日時は画像が撮影された日時に基づいており、画像の中から新天体を見つけた日時にはよらないとされている。上記の2文字を用いる仮符号システムでは、一度仮符号が与えられた発見について後の年になってから発見順を判断するのは一般に難しい。この問題を避けるために考えられた方法はいささか不恰好なもので、発見年と小文字のアルファベットを使う、昔の彗星の仮符号と同様の命名方式だった。例えば、1915 a(彗星の昔の仮符号 1915a と区別するため、発見年とアルファベットの間には空白が入ることに注意)や 1917 b といった具合である。1914年には発見年とギリシャ文字を合わせる形式も加えて用いられえた。
※この「現在の仮符号の草創期」の解説は、「仮符号」の解説の一部です。
「現在の仮符号の草創期」を含む「仮符号」の記事については、「仮符号」の概要を参照ください。
- 現在の仮符号の草創期のページへのリンク