現代の加速主義
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著名な理論家の一人に、「加速主義の父」とも呼ばれている右派加速主義者のニック・ランド(Nick Land)がいる。1995年から2003年にかけてウォーリック大学の非公式研究ユニットとして活動したサイバネティック文化研究ユニット(Cybernetic Culture Research Unit, CCRU)には、ランドも加盟していたが、これが左派と右派両方の加速主義思想における重要な先祖と考えられている。現代の著名な左派加速主義者には、インターネット上で発表した「加速派政治宣言(Manifesto for an Accelerationist Politics)」の著者であるニック・スルニチェク(Nick Srnicek)とアレックス・ウィリアムズ(Alex Williams)、そして「ゼノフェミニズム:疎外の政治学(Xenofeminism: A Politics for Alienation)」を書いたラボリア・クーボニクス(Laboria Cuboniks)コレクティブが含まれる。 アレックス・ウィリアムスとニック・スルニチェク(Alex Williams and Nick Srnicek)によるマニフェストが現在公開されている。http://criticallegalthinking.com/2013/05/14/accelerate-manifesto-for-an-accelerationist-politics/ 加速主義的な論調のもと、ポール・メイソン(Paul Mason)は著書『ポスト資本主義:未来へのガイド(PostCapitalism: A Guide to our Future)』において、資本主義の後の未来について思弁を試みた。彼は次のように宣言する。「500年前の封建主義の終焉とともに、資本主義のポスト資本主義への置き換えは外的衝撃によって加速され、新しい種類の人間の出現によって形作られるだろう。そしてこの動きはすでに始まっている」。共同生産(collaborative production)の台頭が、結果的に資本主義の自壊を促進すると彼は考えている。 ベンジャミン・H・ブラットン(Benjamin H. Bratton)の著書『スタック:ソフトウェアと主権について(The Stack:On Software and Sovereignty)』も加速主義に関連している。彼は同書にて、情報技術インフラストラクチャが現代の政治地理学をどのように弱体化させるかに焦点を当て、オープンエンドの「デザインブリーフ」を提案している。ティツィアナ・テラノヴァ(Tiziana Terranova)の「赤いスタックの攻撃!(Red Stack Attack!)」はブラットンのスタックモデルと左派加速主義をリンクしている。 米国ではジェイソン・アダムス(Jason Adams)、レザ・ネガラスタニ(Reza Negarastani), 松本良多(Ryota Matsumoto), ニック・スルニチェク(Nick Srnicek)がCCRUの提示した加速主義をプラットフォーム・キャピタリズム、デジタル・レーバーという社会学的視点から最先端のテクノロジーをまじえた思想として再定義している。
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