王冠 (栓)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/10 15:37 UTC 版)


王冠(おうかん)とは瓶を密封する栓(蓋)の一種。形状が単純で安価に大量生産でき、内容物の高い圧力にも耐えるため瓶飲料に広く使用されている[1]。コレクションされる場合もある。 形状が西洋の王冠に似ているので王冠(おうかん)と呼ばれる[1][2]。
歴史

瓶入り炭酸飲料は1880年代のアメリカ合衆国にはすでに広まっていた[3]。しかし、当時の瓶を密封する栓は信頼性に欠き、飲料や炭酸ガスが漏れることも多かった[3]。そこで、1892年にアメリカのウィリアム・ペインターが王冠栓を発明して、特許を取得した[1]。彼はさらに王冠栓を生産する機械も発明して特許を取得、同年にクラウン・コルク・アンド・シール社(the Crown Cork and Seal Company)を設立して、王冠栓を普及させた[3]。

日本での歴史は、1900年7月に東京麦酒(前身は桜田麦酒で、後に大日本麦酒に吸収される)が王冠栓付ビールを発売したのが最初である[4]。1901年にはジャパン・ブルワリーでも王冠栓が検討されたが見送られ、1912年に後身にあたる麒麟麦酒で本格的に採用された[4]。1915年(大正4年)頃には、サイダー、酒、ビールなどの瓶のコルク栓がブリキ製王冠に代わった[5]。
規格
王冠の寸法は、内径により、18mm、21mm、24mm、27mm、29mm、30mm、36mm、39mm、42mm、45mm、51mm、54mmなどがある[1]。このうち最も利用されているのは27mm内径のものである[1]。その側面の溝は全世界共通で21本刻まれている。また、27mm内径の王冠は高さにより、スタンダード王冠またはロングスカート王冠と呼ばれる約6.5mmのものと、インターメディエイト王冠またはショートスカート王冠と呼ばれる約5.9mmのものがある[1]。一般には内径27mmで、王冠の高さは5.97mmである。
王冠の外形を形作る金属部分をシェルという[1]。また、王冠の内側にある裏張りをライナーという[1]。ライナーには、コルクシート、PVC樹脂など様々な素材が利用されるが、ほとんどの物がポリエチレン樹脂を用いている。
性能
王冠を打栓する瓶の内容物がビールなど炭酸ガスを含む内容物の場合には内圧がかかる[1]。また、ジュースなど加熱殺菌する内容物である場合には内部は減圧状態となる[1]。王冠はこれらの圧力の影響を受けることなく密封機能を発揮するものでなければならず、漏水試験、持続耐減圧試験、瞬間耐圧試験、持続耐圧試験が行われる[1]。
通常の王冠は開ける際に栓抜きを必要とするが、ツイスト・オフ・キャップ(Twist Off Cap)になっているものなどは手で簡単に開けられる。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k 山下真人「王冠のできるまで」『日本釀造協會雜誌』第66巻第11号、日本醸造協会、1971年、1050-1053頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.66.1050、2020年5月12日閲覧。
- ^ 「王冠」『デジタル大辞泉』小学館 。コトバンクより2024年11月11日閲覧。
- ^ a b c "William Painter". National Inventors Hall of Fame (英語). 2024年11月11日閲覧。
- ^ a b “東京麦酒から国内初の王冠栓付ビールが発売”. キリン歴史ミュージアム. 2024年11月11日閲覧。
- ^ 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』下川耿史 監修、河出書房新社、2000年、404頁。ISBN 4-309-22361-3。
関連文献
- 上野博資、山口征夫「びん香と王冠について」『日本釀造協會雜誌』第59巻第11号、日本醸造協会、1964年、945-948頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.59.945。
- 中村憲三「王冠について」『日本釀造協會雜誌』第59巻第3号、日本醸造協会、1964年、194-198頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.59.194。
関連項目
外部リンク
- Bottle-sealing device - Google Patents - ペインターが取得した特許の内容
「王冠 (栓)」の例文・使い方・用例・文例
- 女王は王冠をかぶっていた
- 発掘されたその王冠は修理され、今その博物館に展示されている。
- 百円じゃなくて、王冠でした。
- 彼女は出廷したとき、王冠のようなものをかぶっていた。
- その王様はいつも王冠をかぶっている。
- その王冠は宝石で飾られていた。
- いつも男の子は、彼女のところで、彼女の葉っぱで、王冠を作って森の王様ごっこをしてあそんだ。
- 王冠は王の象徴である.
- 王冠をいただく, 王[女王]である.
- 王は息子に王冠をいただかせた.
- 王冠には金と銀がちりばめられていた.
- 司教は王に王冠をかぶらせた.
- 王冠は王位を代表する
- 王冠は球玉を鏤{ちりば}む
- 王冠または指摘されたような王冠が提供されまたはそうであるかのように提供され、
- 何か特別の帽子や王冠をかぶっているように覆われた
- その王冠が頭の上で不安定に乗っている
- 赤い王冠とバラのような胸と尻を持つ小さなマヒワのようなアトリ科の鳥
- 王冠は、王位の象徴である
- 王冠
- 王冠_(栓)のページへのリンク