演奏スタイル、録音など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/21 07:47 UTC 版)
「アルノルト・ロゼ」の記事における「演奏スタイル、録音など」の解説
ロゼはレコード技術が十分発達しない時期としては、小品ばかりそれなりのレコードの枚数を録音している。しかし、それらのレコードは音質などの面でロゼの芸術を正しく伝えているとは言えない(レコードの中には、録音技師の声が混入しているものもある)。したがって、残されている録音からロゼの演奏スタイルを論じるのはやや無謀である。 なお、ロゼの録音はソロとロゼ四重奏団でのものがほとんどであるが、例外的にウィーン・フィルを指揮したレコードも1曲だけ残されている。1936年、ベートーヴェンの『アテネの廃墟』序曲を指揮したもので、これは本来『英雄』に続きワインガルトナーが指揮して録音する予定であったが、ワインガルトナーが疲労のために拒否し、ロゼが代演で指揮して録音したものである(『英雄』の最終面のマトリックスは'CHAX-123'で1936年5月23日録音、『アテネの廃墟』のマトリックスは'CHAX-124'で同日録音)。 ロゼの演奏スタイルは、ヴィブラートを抑制しつつ絹のように繊細な音色と高度なボーイング技術によって、まさに高潔といえる演奏を成し遂げている。ヴィブラートの使用に関しては、同じウィーンの大ヴァイオリニストであるフリッツ・クライスラーとは対極にあり、音色を汚さないため多用することを避けている(これは当時のウィーン・フィルの弦楽器群の特色でもある)。また実際にクライスラーがウィーン・フィルの入団試験を受験した際に、審査員だったロゼが「音楽的に粗野」「初見演奏が不得手」という理由で、クライスラーを失格させた。 ウィーン・フィルの楽団長だったオットー・シュトラッサーは入団試験の際、ある曲でヴィブラートをたっぷりかけて歌わせた時、「そんなにヴァイオリンを啼かせるものではない」と審査員のロゼに言われたという。
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