演出家の出身職業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 04:26 UTC 版)
演出家はアニメーションに携わるクリエイターの現場監督とも言える存在であるが、必ずしも人並み以上に絵が描ける必要があるとはされていない。むしろ全く描けない演出家も少なくない。アニメーションそのものの黎明期において、アニメーションは個人あるいは少人数での制作がほとんどであり、アニメーター=演出家と言えるものであった。しかしアニメーション文化が映像、商業として発展していくにつれ分業化が進み、専業の演出家が必要とされていった。初期においてはアニメーターとしてある程度の技量を持った人間がそのまま演出家になることが多く、その傾向は現在も続いている。一方、東映動画は実写映画の助監督のように演出助手(後述)を募集しており、高畑勲のように、絵は描けずともはじめから演出助手として採用された上で演出に昇格するというパターンもあった(現在の東映アニメーションでもそのシステムは引き継がれている。また試験を受ければ社内のどのセクションからも演出に転身出来るようになっている)。1961年に設立された虫プロでは、初期は東映から移籍してきた杉井ギサブローなどアニメーター出身の演出がほとんどであったものの、富野由悠季や高橋良輔などの制作進行出身のアニメ演出家が登場し、以降業界では制作進行から演出家になるという流れも一般化した。また、設立当初から分業化を進めていたタツノコプロにおいては、押井守のようにいきなり演出として採用されることもあった。90年代までは基本的に東映の演出助手経験者、アニメーターあるいは制作進行が演出家になるパターンが多く、それ以外の職種からの転身はそれほど見られなかったが、00年代になってデジタル化が進むと撮影やCG出身の演出家も多く輩出されるようになった。これは現代のアニメの画作りにおいては撮影マンやCGクリエイターの技術に頼る事が多くなってきており、演出家にはデジタル映像技術への理解が必要不可欠となってきているためである。
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