混乱する学名と和名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 04:07 UTC 版)
「 pretiosa 」という学名や「フトギリ」という和名で呼ばれる貝には地色が黄色いものと白いものの2型があるが、この2型を同種とするか別種とするかは資料によって異なることがある。また学名や和名には「pretiosa」「fujitai」「フトギリ」「フジタギリ」などの名が使用されるが、これらの使用法にも混乱があり、図がない限りこれらの学名や和名がどちらを指すかが分からない場合が多い。 例えば下記の表のように、日本を代表する貝類図鑑である『日本近海産貝類図鑑』の初版(2000年)では2型は同種とされたが、第二版(2017年)では白い型を「フトギリ C. pretiosa」、黄色い型を「フジタギリ Cinguloterebra fujitai」、第二版の正誤表では白い型を「フトギリ Cinguloterebra sp.」、黄色い型を「フジタギリ Cinguloterebra pretiosa」としており、混乱が続いていることがわかる。 なおこれらの図鑑で使用されている属名 Cinguloterebra Oyama, 1961(ラテン語の cingulum(帯・ベルト)とタケノコガイ属の学名 Terebra の合成語)はFedesovら(2020)によって Terebra の異名とされた。 資料名黄色型白色型備考『日本近海産貝類図鑑』(初版)(2000年) フトギリ C. pretiosa (黄色型と区別せず) フジタギリ fujitai をフトギリと同種とした。 『日本近海産貝類図鑑 第二版』(2017年) フジタギリ C. fujitai (Okutani & Habe, 1975) フトギリ C. pretiosa (Reeve, 1843) 両型を別種とし、白色型をフトギリ pretiosa とした。 上記『第二版』の正誤表(2017年) フジタギリ C. pretiosa (Reeve, 1842) フトギリ C. sp. 黄色型を pretiosa とし、白色型は学名未詳とした(作成者は無記名)。 本項 フトギリ C. pretiosa (Reeve, 1842) フジタギリ C. sp. (学名未確定) それぞれの名称が提唱された原典に基づく。 このように学名や和名の混乱は未だに解決されていないが、本項では、海産動物のデータベースWoRMSや『日本近海産貝類図鑑 第二版』に従って2型を別種とし、また、それぞれの名称が最初に提唱された時の学名と和名の組合わせに従い、黄色い型を「フトギリ」=pretiosa 」、白い型を「フジタギリ?」=「Terebra sp.」としている。白い型の学名は「 fujitai Kuroda & Habe, 1952」とされることもあるが、この学名の使用の可否には諸説ある(#学名の項参照)。 以下は2型を便宜上「黄色型」と「白色型」とし、その特徴と用いられる複数の学名と和名について説明したものである。
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