法律と例外
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 01:33 UTC 版)
法律論では、「何が原則で、何が例外だ」という議論のしかたをすることが多くある。いつでも一定の原則だけで例外がない、ということは滅多に無い。大抵のケースで、原則が多くの場合に適用されるものの、例外的に原則が適用されない場合がある、ということになる。 よって、まずどのような場合に対してどのような原則があるかを明らかにし、その次に、その原則の例外はどのようになるか(どのように扱うか)を明らかにする、というのが法律論の一般的なパターンである。 (これは単に法律論にとどまるものではなく)法律の条文や、契約書の条項も、こうした法律論のパターンに合わせた形で書かれていることが一般的である。よって、法律や契約書もこれを意識しながら読むと、正しく理解できる。 たとえば、契約書の場合について解説してみる。例をひとつ挙げる。 売主は本商品を来年3月31日までに引き渡すものとする。但し売主の責任によらず商品が完成できない特別な事情がある場合には、この限りではない。 この契約では、 原則は、3月31日が引き渡し期限となっている。 例外としては、売主に落ち度が無い特別な事情が生じた場合は(例えば戦争や巨大災害などで材料の調達が不可能になったり、工場が破壊されてしまった場合などは)、売主は3月31日までに引き渡す義務は負わない、ということを言っている。 契約書の例外は「但し」という言葉以降に書かれていることが多い。(そのため、例外に関する記述を「但し書き(ただしがき)」とも言う。) 《原則》と《例外》の話は、実体法のレベルだけで現れるわけではない。手続き法のレベルでも現れる。 法律をよく知らずに法律を読む人(たとえば特定の筋書きのある小説や、理念表明などのように読もうとする人など)は「結論はどちらだ? 結論がはっきりしない。」とか「法律は面倒だ。」などと感想を漏らすことがある。 では、なぜ(複雑になるのに)法律には一般に「原則」と「例外」があるのかと言うと、人間社会の事象というのは、ケースバイケースであり、一律にどちらかとは決められないからである。ケースバイケースであるから複雑になりはするが、そうしたやりかたで決めるからこそ、社会正義に則した妥当な結論を導ける、という面があるのである。 例外的な状態を意図的に狙うもの、いわゆる「法律の網をかいくぐる」ような者が現れることがある。それが度を超し常態化すると、法律があっても機能していない、意味が無い、という状態になってしまうこともある。 例外には「歯止め」を設定する場合もある。たとえば道路交通法は緊急自動車をその例外に認めている。その有益性は明らかであろう。しかしたとえば警察車両であれば無条件でこれを認めるのではなく、警告灯やサイレンをならすことを義務づけている。
※この「法律と例外」の解説は、「例外」の解説の一部です。
「法律と例外」を含む「例外」の記事については、「例外」の概要を参照ください。
- 法律と例外のページへのリンク