法の欠缺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/19 15:47 UTC 版)
ある問題に対して適用する法規が欠けている(存在しない)状態にあることを指す。 成文法においては、文章で法規が書かれているため、その文章の範囲内でしか、法規を適用出来ない。このため、立法当時の配慮の不足や立法後に生じた、当時においては全く予想も出来なかった事例の発生などによって生じる場合がある。 こうした事態に対しては、民事裁判においては類推適用や慣習法、条理によって事態が解決される事が裁判官に求められる(ちなみにスイス民法典では、こうした場合に限定して判例による決定に法的効力を持たせて事実上立法の役割を果たすことを認めている)。 逆に刑事裁判において、こうした措置を取る事は罪刑法定主義に違反する行為として固く禁じられている。 罪刑法定主義の成立以前の世界において、時の君主や権力者が政敵やその他の疎ましい人物を陥れるために「法の欠缺」を理由にその人物を犯罪者とするための罪を特別に規定して逮捕・処刑する場合が多かったからである。 事実、中国・西晋に仕えた劉頌が君主(皇帝)によるそうした風潮を憂慮する文章を残している(『晋書』)。
※この「法の欠缺」の解説は、「欠缺」の解説の一部です。
「法の欠缺」を含む「欠缺」の記事については、「欠缺」の概要を参照ください。
- 法の欠缺のページへのリンク