一方的(国内)措置の対抗力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/06 03:50 UTC 版)
「一方的行為」の記事における「一方的(国内)措置の対抗力」の解説
山本草二東北大学名誉教授(元国際海洋法裁判所判事)は、国際関係が急激に変化した際、国際法の欠缺(lacunae)が生じ、その分野で行われる国際公序の保護を目的とした緊急の一方的国内措置は、合法、違法を問うことはできずに、正当か不当かを争うしかないとする。そして、そのようにして正当だと認められた一方的国内措置が実効性(les effectivités)を集積したとき、他国に対する対抗力(opposability)を獲得し、後に、衡平原則(「実定法規の外にある衡平」; equity praeter legem)の働きの中、新たな合意を形成させた場合、実定国際法を補完する、という理論を提示した。 村瀬信也上智大学教授(国連国際法委員会委員)はこの理論を補完して、国際法規が欠缺している場合に加えて国際法規が不明瞭な場合にも同理論が適用されると述べ、また、事前に話し合いを尽くしたり、他の代替手段を模索する等、信義誠実の原則を尽くすという条件を充たす必要があると主張する。 そのようにして対抗力を保有した一方的措置の例としては、米国通商法スーパー301条の適用(現在は米国自身が適用を放棄している)、1991年の湾岸戦争時の多国籍軍の行動、1999年の北大西洋条約機構によるコソボ空爆、公海における一方的漁業制限措置(例えば1893年の「ベーリング海オットセイ事件」)などが挙げられている。 この学説は、大きな議論を引き起こし、多大な影響力を持つに至った。今もなお、その当否の論議が行われている。
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