河川管理の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/11 06:27 UTC 版)
本来、マーレー川と南の支流は、冬に流量が増え、春に洪水を起こし、夏から秋にかけて流量が減るというパターンを示していた。マーレーコッドや他のマーレー・ダーリング固有の魚類の繁殖行動は、この自然のパターンに沿ったものである。灌漑のための河川管理はこの自然のパターンを逆転させ、マーレーコッドの繁殖と個体数の回復に悪い影響を与えた。現在、マーレー川と南の支流の大部分は灌漑需要に応じるために、夏と秋に流量が増やされ、冬と春には流量が抑えられている。年1回の周期的な春の洪水を含む中小規模の洪水は、完全に押さえ込まれている。 河口での流量は、1995年までに本来の流量のわずか27%にまで落ち込んだと見積もられている。マーレー川河口が干上がる確率は、本来の5%から1995年には60%に増大した。 水温の人為的な低下によって引き起こされる熱公害も重要である。これは、特に夏と秋において、灌漑需要に応じるために貯水池の下部に貯まっていた冷たい水が放流されることによって引き起こされる。熱公害はマーレーコッドの繁殖行動と稚魚の生存を妨げ、極端な場合ではマーレーコッドの成魚の生存をも脅かす。 マーレー・ダーリング川水系のダムや堰からまれに放流される洪水は、河川管理システムによって流量を調節され、本来の時期から遅らせられている。このような河川管理方式が非常に有害で、生態系全般の利益を大幅に損ねていることを示す研究が増えている。マーレーコッドやマーレー・ダーリング固有種に繁殖機会を与えることができるのは、現在では滅多になくなった洪水である。。
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