河川氾濫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 00:04 UTC 版)
洪水の最も主な原因は、台風や集中豪雨、前線の停滞による大雨などによって多量の降雨が河川に集中することである。 本来自然状態においては、低地の河道は不安定であり、洪水を繰り返してきた。河川によって運ばれてきた土砂は下流部に堆積して氾濫原となり、長い年月の間に沖積低地として広い平野を形成した。本来氾濫原であるため、沖積低地は洪水の被害を受けやすく、自然状態での定住は非常に困難であったが、水利がよく肥沃な土地が広がっていることから、人類はこの低地へと進出し定着した。しかしこのため、沖積低地に定住した人類は頻繁な洪水に悩まされることとなり、さまざまな治水の試みが行われてきた。また自然状態では、幾度も繰り返された洪水の際に運ばれた土砂が河道からやや離れた地点に堆積し、微高地を形成することがある。これは自然堤防と呼ばれ、洪水の影響を受けにくいため人類が沖積低地に進出する際の居住地とされることが多かった。 河道を溢れた水が氾濫しやすい場所としては、河道の勾配が急にゆるくなる地点、河道の蛇行する地点、河道が分流または合流する地点、河道の幅が急に狭まる地点があげられる。例えば扇状地の扇端は河道の勾配が急に緩くなるため、自然状態では非常に洪水と河道変遷が起こりやすい。氾濫した水は、氾濫した先の地形に応じて広範囲に拡散したり、輪中のように堤防に囲い込まれている地点においては低地に滞留したり、大規模な洪水の場合は拡散した洪水が何十kmも流れ下って低地の堤防内に滞留することもある。また土砂堆積量が多く、古くから堤防が築かれて河道が固定されている河川においては土砂が河道内に蓄積され、周囲の平野よりも川の水位の方が高い天井川となるが、この場合洪水が起きると水が引きにくいため大きな被害をもたらす。このほか、河道内に障害物が存在すると水位が上昇しやすくなり、なかでも河川敷に樹木が繁茂している場合は洪水時に水がせき止められ、水位上昇を顕著に引き起こす。
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