永続的住民
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/24 06:59 UTC 版)
「永続的住民」について、かつては人種、言語、宗教、習俗、文化などといった要因により永続的住民と言えるかどうかを判別しようとする立場があり、これを客観説という。こうした考え方は、同一民族による国家統合を目的とした一方的な国境変更や、他国に居住する自国民と同じ民族に対する少数民族保護を口実とした他国領土への侵入、ナチス・ドイツの汎ゲルマン主義に見られるような特定民族の優位性の主張といったように、政治的に危険を伴うものであった。そこでこうした客観説は非難に値するものとみなされ、現代においては人種差別撤廃条約全文第6項、第4条により各国に対して人種的優位主義に基づく差別や扇動を禁じる国内措置が義務付けられることとなった。これに対して現代においては、その国の国籍取得に見られるように集団構成員の主観的合意を基準にして決定されるものとされており、こうした立場を主観説という。その国の領域に居住しているかどうかは問題とされず、外国人として一定の期間その国の領域内にいたとしても永続的住民とは言えない。各国が自国民であることを認定して国籍を付与することは国内管轄事項であるが、この国籍付与を他国に対して対抗するためにはノッテボーム事件国際司法裁判所判決で示された「真正な結合」が求められる。これによると、国籍は有していてもその国に居所もなく、家族もなく、ほとんど他国で活動している者は「真正な結合」があるとはいえない。そのためこうした者は「永続的住民」ではないこととなる。永続的住民が存在するということは、彼らが居住する一定の領域が存在することの証明ともなるため、後述する領域の基準(#明確な領域参照)とも密接に関連するものである。
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