水銀遅延線とは? わかりやすく解説

遅延記憶装置

(水銀遅延線 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 06:59 UTC 版)

遅延記憶装置ちえんきおくそうちとは、媒体が音波などを伝える際の遅れを利用し、信号を循環させ記憶装置として使用するものである。種類によっては、遅延線記憶装置(delay line memory)という。技術的にはレーダーで使う信号処理技術などから生まれたもので、黎明期のコンピュータ真空管式コンピュータ)でよく使われた。


  1. ^ 『ウィルクス自伝』12章、p. 156
  2. ^ 情報処理学会コンピュータ博物館 によれば金石舎研究所(後の京セラクリスタルデバイス)の協力による開発
  3. ^ 磁歪遅延線の解説と実装例(詳細不明)は、中野馨『脳をつくる』の pp. 137-138, p. 144 にある。
  4. ^ 磁歪遅延線がETL Mark IVで使われたとしているウェブページがあるが、開発者の一人である高橋茂著『コンピュータ クロニクル』 p.14 には、トランジスタの速度を下げたため、動作速度を下げると容量的に不利な遅延線は止め、磁気ドラムを採用した、とある。
  5. ^ Olympia Model CD-400 Desk Calculator”. John Wolff's Web Museum. 2021年9月11日閲覧。
  6. ^ OLYMPIA: CD400”. CALCUSEUM. 2021年9月11日閲覧。
  7. ^ 『日本のコンピュータの歴史』 pp. 155-172、第8章「MARS-1」
  8. ^ 『ACMチューリング賞講演集』 p. 235 。なお、『ウィルクス自伝』p. 169 によれば、精製された水銀ではなく商業用品質のものを使用したところ、タンク毎に音速が違うという問題が出た、とあり、媒体はそうなんでも良いというわけではない。同書 p. 176 にはおそらくこのチューリングの提案を指して「彼の能力の範囲外」という言葉があるので、独創的というよりは奇案に属するようである。
  9. ^ 『日本のコンピュータの歴史』(1985) p. 69
  10. ^ https://www.nhk.or.jp/strl/vision/r6/r6-2-1.htm


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水銀遅延線

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遅延記憶装置」の記事における「水銀遅延線」の解説

黎明期のコンピュータ主記憶装置としてよく使われ遅延記憶装置が、水銀遅延線(すいぎんえんせん)である。アナログ信号処理デバイスとして使われいたものであるが、ディジタル計算機のための記憶装置としては、ENIACに関わったジョン・プレスパー・エッカートによる(ENIAC自体では、稼働初期時点では本格的に使われていない)。水銀の中の超音波利用する。英語 delay line memory から(delay memoryはしない)「遅延線」の語があるが、線というより管であることから水銀遅延管(すいぎんえんかん)とも呼ばれる。英語でも mercury delay tube としている例が見られる。(真空管勘違いしないように)tank の語を使うことも見られる水銀詰めた管の両端圧電素子をとり付けた構造をしている。片方素子信号入力し圧電効果逆圧電効果)による振動超音波発生させる超音波水銀媒体として管の中を伝わり反対側の圧電素子振動させる振動させられ圧電素子圧電効果により電圧誘起するため、ここから入力信号同様の波形を持つ信号取り出せる。これを増幅して再び入力側に戻すと、信号循環して記憶装置として使うことができる。この操作について当時の用語では、英語では regeneration日本語では訳して「再生」などと表現されている。 水銀遅延線は初期のコンピュータ用いられEDSACEDVACUNIVAC I採用された。また、日本初電子式コンピュータFUJICにも水銀遅延線が使われている。 (なお、設計としては、片方開放端か固定端として信号反射するようにし、入力取り出しを同じ側でおこなう、というものもありうる

※この「水銀遅延線」の解説は、「遅延記憶装置」の解説の一部です。
「水銀遅延線」を含む「遅延記憶装置」の記事については、「遅延記憶装置」の概要を参照ください。

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