民法上の問題と対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 15:11 UTC 版)
「製作委員会方式」の記事における「民法上の問題と対策」の解説
製作委員会は、法律的には民法上の任意組合であり「組合員」である出資スポンサーは無限責任を負う。そのため、機関投資家や金融関係者などが参加しにくく、出資先を広げにくいという欠点がある。また、作品の著作権が各出資スポンサーに分散され、各種メディアでの事業展開の際に権利処理が煩雑になるという欠点がある(アンチコモンズの悲劇も参照)。 さらに、出資スポンサーが倒産・解散するなどした場合、「強制執行などの任意でない持分の移転により、予期せぬ著作権の流出が発生する」「権利の所在が不明となり、作品の二次利用ができなくなる」といった事態も起こりうる。また、一般に任意組合である製作委員会は法人登記がなされないため、外部の者が構成主体を知る事は困難であり、「事実上権利の所在が不明であるため作品の二次利用ができない」という事態も起こりうる。 そこで最近では「特別目的会社」(SPC)や「有限責任事業組合」(LLP)を利用して、作品を製作するための会社を設立することも行われている。出資スポンサーは有限責任が保障されており、資金の流れが透明化されるため、機関投資家や金融関係者などが出資しやすくなり、出資スポンサーの多様化や製作予算の拡大が容易になる。また、作品の著作権の帰属がSPCやLLPに一本化されるため、将来誕生する新しいメディア媒体で事業展開する際にスピーディに対応できるという利点がある。代表例として『かいけつゾロリ』の「ゾロリエンターテイメント」が挙げられる。また、株式会社方式では松竹主導で設立した同名映画作品のアナザヘヴン社もある。
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