殺さない絞首刑・苦痛を与える絞首刑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/26 15:28 UTC 版)
「絞首刑」の記事における「殺さない絞首刑・苦痛を与える絞首刑」の解説
詳細は「首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑」を参照 かつてのイギリス(イングランド)で行われていた大逆罪に対する極刑である首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑は、その名の通り首吊り(Hanged)が行われたが、これは基本的に殺さない絞首刑であった。この刑における首吊りは受刑者に死ではなく苦痛を与えるのが目的であり、死の寸前まで吊られた後に絞首縄が切り落とされ、意識を回復させられた。その後、受刑者は生きながらに自らの性器を切り落とされたり、腹を割かれて内蔵を抉られ、また、それらを火に焚べられる様子を見せられながら絶命させられるというものであった。このため、処刑人には受刑者が死に至らないように首を吊らせる技術が要求された。通常の長い縄ではなく短い縄が用いられ、吊られる時間も数分と短く調整されていた。このため、受刑者の苦痛を軽減するために遺族が首を吊られた身体にしがみついてとどめを差すこともあった。またエリザベス1世の治世下でのカトリック弾圧で行われた司祭ポリドール・プラステンの処刑のように改悛の情を見せて刑の軽減を許され、死ぬまでの首吊りによって、後の内臓抉りは遺体に対して儀礼的に行われるということもあった。 18世紀以降は「死の寸前までの首吊り」は暗黙的に無視され、30分以上吊られるなど、完全に死に至るまで行われた。後の大逆罪の法改正では「死ぬまでの首吊り(hanging until dead)」と明言され、内臓抉りや四つ裂きは遺体に行われるという儀礼的なものとなった。なお、もともとイギリスにおける絞首刑はポピュラーな死刑であり、同時に大衆に対する見世物でもあった。このために絞首刑において、すぐに絶命させずになるべく苦しませながら縊死させるのが普通であり、自重によって頚椎を折らせ、なるべく苦痛なく死を与える方法は19世紀後半の処刑人ウィリアム・マーウッドによる改良以降の話である。
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