機械文明としての西洋イメージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:05 UTC 版)
「オクシデンタリズム」の記事における「機械文明としての西洋イメージ」の解説
座談会「近代の超克」では19世紀の産業化・資本主義・自由主義経済の発展が「現代社会の諸悪の根源」であるという指摘もあった。「機械文明」や「アメリカニズム」に対して、古い文化を持つ日本とヨーロッパは立ち向かうべきという主張もあった。ヒトラーは アメリカ文明は、まったくもって機械化された文明だ。機械なしでは、インドよりもあっけなく崩れ去るだろう と語っている。日本の同盟者となったヒトラーは アメリカニズムに対する私の感情は、深い憎悪と嫌悪だ とも述べていた。ただし、アメリカ政府の行ったこと、行わなかったことは肝心ではない。例えば「近代の超克」の知識人たちが論じていたのは、アメリカの具体的な政策ではなく、アメリカについての概念―根無し草・コスモポリタン(世界主義的)・皮相・些末・物質主義・混血・流行中毒な文明についての概念―だった。ここでも日本の知識人たちは、主に当時のドイツ言論に倣っていた。その一例であるマルティン・ハイデッガーは、「アメリカ主義(Amerikanismus)」とはヨーロッパ魂を蝕むものだと批判した。「第三帝国」というフレーズを創ったアルトゥール・メラー・ファン・デン・ブルックは、 〔アメリカらしさ(Amerikanertum)とは〕地理的にではなく、精神的に理解される性質のもの … 人間が地球への依存から地球の活用へ移行する決定的な一歩であり、無生物すら機械化して電流を流すもの とした。つまりオクシデンタリズムで問われる「アメリカ」とは、アメリカの政策ではなく「アメリカについての考え方」であり、「魂のない機械化された社会」についての幻影に他ならない。
※この「機械文明としての西洋イメージ」の解説は、「オクシデンタリズム」の解説の一部です。
「機械文明としての西洋イメージ」を含む「オクシデンタリズム」の記事については、「オクシデンタリズム」の概要を参照ください。
- 機械文明としての西洋イメージのページへのリンク