樹下群馬
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1963年第31回独立展出品作品 安井賞受賞作品 (2019年現在、東京国立近代美術館蔵)。 当時の日本洋画壇が抽象か具象かで揺さぶられていたとき、画家が思い描く思想をいかに造形化するかということが絵画芸術の本質であるならば、具象ではあるが、かなり構成的で感覚の新しいこの作品において、芝田米三は「絵はやはり具象でないと思想は表現できないと思う。思想のない絵はあり得ない。その思想とはいつも自然をしっかり見つめているうちに生まれるその人の世界観だ」と言い、これ以降の指標というべき画家の進むべき方針を確立した。 また画家はこの受賞の折、好んで動物を主題にするのは「生命感を表現したい」からと語っており、この作品で「馬の芝田」の異名をとった芝田米三は、それから数年間にわたって同じ傾向の馬をメイン・モチーフに書き続けるが、その後の作風に幻想的傾向が強まっていくものの、馬は画面から消えた後にも絶えずまた復活しており、この動物は芝田米三の作品発想の中に生き続けてゆくことになる。 美術評論家の村木明はこの「樹下群馬」を、野生美に満ち溢れ作品発想のイメージが見事な造形絵画として実現しており、画面をほぼ横に3分割した上2段の中央にダイナミックな大木を描き、その下の横2段に馬の群像を配した大胆な構成で、一見装飾的でありながら画面全体が躍動しており、その彩色処理がそれを引き立て、いかにも新しい意欲を感じさせる洋画家、芝田米三の地位を築いた代表的な秀作であると評している。
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