樹上説vs.地上説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 02:26 UTC 版)
アーケオプテリクスは鳥類の起源と進化に関する議論において、重要な位置を占めている。研究者によっては、マーシュなどによる鳥類が樹上から滑空するタイプの動物から進化したという考えを受け、アーケオプテリクスを半樹上性の動物とみなす向きもある。他方では、アーケオプテリクスは地上をすばやく疾走していたであろうと考え、サミュエル・ウェンデル・ウィリストン(英語版)提唱の説である鳥類の飛翔が地面を走ることから発達したことの傍証であると位置付ける研究者もいる。さらには、アーケオプテリクスは現在のカラスのように樹上と地上の双方を住処としていたとする意見もある。この意見は、形態形質に基づく考察としては最尤とされている。つまりアーケオプテリクスは、樹上にも地上にも特化した生物ではないということである。近年の知見に基づけば、Elżanowski (2002) に概説されるように、アーケオプテリクスは捕食者から逃れるべくより高い木へ移動するため、あるいは崖や木の頂上からより長い距離を飛行するために翼を使っていたと考えるのが妥当とされている。ただし、その後2005年に発見された状態の良い標本の分析によると、アーケオプテリクスの足は現在の鳥類とは違い第1指が他の指と対向していないこと、すなわち枝を掴んで樹上に止まることが困難であることが判明している。この事実はアーケオプテリクスが地上生活者であった可能性を支持している。
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