標的を表すサブステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 14:12 UTC 版)
「モノクローナル抗体の命名法」の記事における「標的を表すサブステム」の解説
抗体の起源を表すサブステムの前に付くもう1つのサブステムは薬の標的を示す。標的の例として、腫瘍や、循環系のような器官、細菌やウイルスのような病原体が挙げられる。標的という語は抗体の使用目的を意味しない。つまり、治療目的か、予防目的か、あるいは診断用かといった区別はこの命名系ではなされない。 命名系が制定された当初、標的用のサブステムは子音-母音-子音という構成であった。ただし最後の子音は発音が困難になる場合欠落する事がある。例として循環系を示す-シ(ル)- (-ci(r)-)、免疫系を示す-リ(ム)- (-li(m)-)(limはリンパ球を意味する)、神経系を示す-ネ(ル)- (-ne(r)-) が例として挙げられる。最後の子音は続くサブステムが子音で始まる(例えば-ズ-(-zu-) や-キシ-(-xi-))場合、通常除かれるが、常に標的用サブステムが短い形でも用いられるとは限らない。例えば-ムル- (-mul-) は、キメラないしヒト化された筋骨格系を標的とする抗体がINNに登録されていないため、短縮形である-ム- (-mu-) が用いられた事は無い。標的用サブステムと起源用サブステムの組み合わせによって、免疫系を標的とするヒト抗体を意味する-リムマブ (-limumab) や、循環系を標的とするキメラ抗体で子音rが脱落した-シキシマブ (-ciximab) などで終わる名称が生じる。 2009年には新しい短縮されたサブステムが採用された。新しいサブステムのほとんどは1つの子音のみからなるが、母音を伴う事もある。しかし、この母音は起源用サブステムが母音で始まる場合には省略される。例えば免疫系を標的としたヒト抗体は旧命名系における-リムマブ (-limumab) の代わりに-ルマブ (-lumab) で終わる名称が付けられる。-シキシマブ (-ciximab) のような一部の命名は変化しない。旧体系においては腫瘍のタイプに応じて腫瘍を標的とするサブステムが7つ用いられていた。多くの抗体は複数の腫瘍を標的として開発されるため、新しい体系は-ト(ゥ)- (-t(u)-) のみが使用される。
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