標数0での証明の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 01:04 UTC 版)
特異点解消の証明は長い間非常に難解だとされてきたが、徐々に状況が変わってきた。... 入門的な代数幾何学の授業の最後の2週間で特異点解消を証明することも可能である。 (Kollár 2007, Lectures on Resolution of Singularities) 強非特異化には多くのやり方があるが、本質的にはどれも同じ結果になる。どのやり方でも大域的な対象(非特異化の対象とする代数多様体)は局所的なデータ(代数多様体のイデアル層(英語版)と例外因子(英語版)と一回の操作でどのくらいイデアルの解消をすべきかを表す"位数")に置き換えられる。この局所的なデータによってブローアップの中心が定義される。中心は局所的に定義されるので、これらが貼り合わさって大域的な中心となることが保証されるかが問題となる。これは各イデアルを解消するのにどのようなブローアップを許容するかを定義することでなされる。適切に行えば、中心は自動的に貼り合わさる。もう一つの方法は、代数多様体と解消の履歴(前の局所的な中心)に依存する局所的な不変量を、中心が不変量の最大軌跡から構成されるように定義する方法である。この定義では、この選択が有意義で例外因子に横断的な滑らかな中心を与えるようになされる。 いずれの場合でも問題はイデアル層と付加データ(例外因子とイデアルに対して解消を進める道標となる位数 d)の組の特異点を解消することに帰着される。この組はmarked ideal[定訳なし]と呼ばれ、イデアルの位数が d よりも大きい点の集合はそのco-support[定訳なし]と呼ばれる。marked ideal に対して解消が存在することの証明は次元に関する帰納法でなされる。帰納法は次の2つのステップに分かれる。 次元 n − 1 の marked ideal の関手的な非特異化から、次元 n の最大位数の marked ideal の関手的な非特異化を示す。 次元 n の最大位数の marked ideal の関手的な非特異化から、次元 n の(一般の)marked ideal の関手的な非特異化を示す。 ここで、marked ideal が最大位数(maximal order)であるとは、その co-support におけるある点でイデアルの位数が d に等しいことをいう。強型の解消においては、代数多様体の点での局所環のヒルベルト・サミュエル関数を使うことが鍵となる。これは解消不変量の1つである。
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