標数 2 の体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 13:23 UTC 版)
解の公式は 2 が可逆であることが利いていたから、標数 2 の体では公式は成り立たない。標数 2 の体上のモニックな二次多項式 x 2 + b x + c {\displaystyle x^{2}+bx+c} を考えるとき、b = 0 ならば方程式は平方根を開くことに帰着されるから、 x = c {\displaystyle x={\sqrt {c}}} は解であり、 − c = − c + 2 c = c {\displaystyle -{\sqrt {c}}=-{\sqrt {c}}+2{\sqrt {c}}={\sqrt {c}}} であるから、これが唯一の解であることが分かる。すなわち、 x 2 + c = ( x + c ) 2 {\displaystyle \displaystyle x^{2}+c=(x+{\sqrt {c}})^{2}} 。有限体における開平についての更なる情報は平方剰余の項を参照。 他方、b ≠ 0 の場合には相異なる二つの根が存在するのだが、多項式が既約ならば、係数体に属する数の平方根を用いて根を記述するのは不可能である。そこで多項式 x2 + x + c の(この多項式の分解体に属する元としての)根の一つを c の 2-根 (2-root) R(c) と定義する。このとき R(c) + 1 がもう一つの根となることが確かめられる(こちらも 2-根と呼ぶ)。この 2-根を用いれば、モニックとは限らない二次式 ax2 + bx + c の二つの根は b a R ( a c b 2 ) , b a ( R ( a c b 2 ) + 1 ) {\displaystyle {\frac {b}{a}}R\left({\frac {ac}{b^{2}}}\right),~{\frac {b}{a}}\left(R\left({\frac {ac}{b^{2}}}\right)+1\right)} と表せる。 例えば、位数 4 の有限体 F4 において、その乗法群の生成元を a とするとき(すなわち、a および a + 1 は F4 上の多項式 x2 + x + 1 の根)、(a + 1)2 = a ゆえ、a + 1 は二次方程式 x2 + a = 0 の唯一の解である。他方、多項式 x2 + ax + 1 は F4 上既約だが、F16 上分解して、二つの根 ab および ab + a を持つ。ここで b は F16 における x2 + x + a の根である。 これはアルティン・シュライアー理論の特別の場合である。
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