構造生物学的な触媒過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 03:05 UTC 版)
「リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ」の記事における「構造生物学的な触媒過程」の解説
立体構造が明らかになると同時に、サブユニットの機能についても明らかになった。Form Iにおける大サブユニットはカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ活性を有する触媒部位を有し、小サブユニットは機能未知な部分が多いが反応の調節を行なっているのではないかと考えられている。小サブユニットの無いForm I RubisCOでは活性が1%程度に落ち込むことが大腸菌発現系を用いた研究でわかっており、何らかの形でカルボキシラーゼ活性に関わっていることも示唆された。 Form II、IIIのサブユニットはForm I 大サブユニットと同様、触媒部位を有しており、基本的には以下に述べる基質の結合過程に従うと考えられる。触媒過程における最も多くの反応中間体が得られているのはホウレンソウのForm I RubisCOである。 RubisCOへの基質結合に際して、まずK201(大サブユニットアミノ酸配列201番目のリシン)が二酸化炭素によってカルバミル化される。 カルバミル化されたK201、D203(アスパラギン酸)、E204(グルタミン酸)によってマグネシウムイオンが水素結合により配位されRubisCOの活性型をとる。 2-カルボキシアラビニトール1,5-ビスリン酸(RuBPと構造の良く似た糖;CABP)は以下の水素結合によりRubisCOと結合する。1位炭素に配位した酸素とK175およびマグネシウムイオン 3位炭素に配位した酸素とカルバミル化したK201、H327(ヒスチジン)およびマグネシウムイオン 5位炭素に配位した酸素とH327 1位リン酸に配位した酸素とK334 リブロース1,5-ビスリン酸の3-オキソ中間体の2位炭素のカルボキシル基(すなわち取り込まれた二酸化炭素)に該当するCABPの2位カルボキシル基はマグネシウムイオンと水素結合する。 リシンへの二酸化炭素の配位、マグネシウムイオン、CABPが結合するとloop6と呼ばれる通常活性中心にかぶさるように存在している部位がコンフォメーション変化し、生成物を開放できるようにopenな構造になる。 2分子の3-ホスホグリセリン酸が配位しているケースでもloop6はopenな構造を取っている。 これらの反応素過程において注意すべきなのは、K201にカルバミル化される二酸化炭素は基質として取り込まれるわけではない、という点である。基質として取り込まれるべき二酸化炭素は、Mg2+-CO2複合体および糖が配位したときに、3-オキソ中間体となるようリブロース1,5-ビスリン酸の2位にカルボキシル化される。
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