構造・分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 06:20 UTC 版)
ゴルジ体はゴルジ扁平嚢 (Golgi cisternae) の層が重なって形成される。ゴルジ扁平嚢は直径0.5μm程度の扁平な袋状の膜構造で、20〜30nm程度の一定の間隔で層をなす。ゴルジ体の全体的な形態は多様である。膜系の枚数は、種子植物の場合は7枚のものが多いが、その他の生物ではより多くの層からなる。各膜胞の辺縁部やゴルジ体両面の層は網目状となっており、小胞体、核膜あるいは細胞膜といった他の膜系とつながっている。 ゴルジ体の分布も様々で、動物細胞では細胞核を半ば取り囲むように存在する様子がよく見られる。一方、植物細胞では独立した細胞小器官として存在する様子がよく見られる。形態的にも多様であるが、多くの場合軽く湾曲して明確な背腹性を示している。ゴルジ体は通常、核に近接して存在し、動物細胞では中心体付近に位置する。 ゴルジ体は小胞体と近接して存在することが多く、小胞体側の網目構造をシス・ゴルジ網 (Cis Golgi Network; CGN)、反対側の面の網目構造をトランス・ゴルジ網 (Trans Golgi Network; TGN) と呼ぶ。ゴルジ体の成層部分も小胞体側からシス嚢、中間嚢、トランス嚢の三つの部分に分類される。特に成層部分をまとめてゴルジ層板 (Golgi stack) と呼ぶこともある。ゴルジ体は、小胞体側にあたるシス側とその反対側であるトランス側とで、膜タンパク質の酵素活性などいくつかの点で大きく異なり、その果たす役割もかなり明確に分かれている。 ゴルジ体は細胞分裂時に、全体が一旦数百の小胞に分断され、細胞全域に均等に分布した後、分裂終了後に改めて集合、再構成されることが知られている。小胞輸送と並び、ゴルジ体の構造を維持・制御する機構として研究が進められている。
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