構成員課税
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 13:58 UTC 版)
パススルー課税(Pass-through Tax)と呼ばれ、LLPに利益が生じても、LLPそのものには一切課税されず、その利益を配分した出資者に課税される仕組みである。例えばA社とB社が共同で事業体を作ると仮定する。この時、新たに株式会社C社を設立したとすると、C社で利益が生じた場合にはまずC社に課税され、さらに利益をA社、B社で配分すれば、それぞれ両者にさらに課税される。一方、LLPとして有限責任事業組合C社を設立したとすると、C社に利益が生じても一切課税されず、その利益をA社、B社に配分した時点で初めて課税されることになる。この場合、出資者の損失との相殺が可能で、例えばA社が500万円の赤字で、C社からA社への利益が700万円だったとすると、赤字と利益を相殺した200万円が課税対象となる。有限責任事業組合は、組合契約に定める計算期間の終了の日の属する年の翌年の1月31日までに所轄税務署長に法定調書(有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書)を提出することを要する。 LLPは、共同研究開発の際に、社外研究に必要な研究開発費を社内の経費として算入できるため、共同研究開発への活発な活用されることも期待されていた。しかし、法人格を有さず、研究施設や研究機器を自ら保有して行うことができないという問題があるため、共同研究開発への利用は多くない。 オープンイノベーションを促進するためには、LLP制度のこの問題点を克服した現代的組織が必要であると認識され、第171回通常国会に鉱工業技術研究組合法の一部を改正する法律案が提出され、2009年4月22日に成立した(技術研究組合の項を参照)。パススルー課税であるほか、R&D税制の活用も可能であるため、最大節税額は約50%となる(法人実効税率40%+R&D税制10%)。 独特な有限責任事業組合も存在しており、出資する構成員が民間企業だけではなく自治体や公的な団体が加わって組織されているものがある。例えば、自治体が加わった事例としては、広島県らが出資して設立したひろしま再生可能エネルギー推進有限責任事業組合や、広島県の手法にならって佐用町らが出資・設立した佐用・IDEC有限責任事業組合があり、商工会議所や大学が加わった事例として、佐久商工会議所と学校法人佐久学園が加わった有限責任事業組合佐久咲くひまわりがあり、こちらについては16社が構成員となっている。
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