核酸のハイブリダイゼーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/03 04:53 UTC 版)
「核酸の二次構造」の記事における「核酸のハイブリダイゼーション」の解説
詳細は「核酸の熱力学(英語版)」を参照 ハイブリダイゼーションは、相補的な塩基対が結合して二重らせんを形成する過程のことである。融解(melting)は、二重らせんを形成している鎖の間の相互作用が崩壊し、2本の核酸の鎖へと分離する過程である。鎖間の結合は弱いため、穏やかな加熱や酵素処理、または物理的な力によって容易に分離される。融解は核酸の特定の位置で選択的に起こる。TとAに富む配列は、CとGに富む配列よりも容易に融解する。また、特定の塩基ステップ(base steps、2塩基配列)でDNAの融解は起こりやすく、特にTAとTGの配列で起こりやすい。これらの特徴は、多くの遺伝子の転写開始点において、RNAポリメラーゼが転写に際してDNAを融解するのを助けるためにTATAAのような配列が用いられていることにも反映されている。 分子が約10,000塩基対(10 kbp)よりも小さい場合、PCRで利用されるような穏やかな加熱によって単純に鎖を分離することができる。より長い断片はDNA鎖が絡み合うため、分離は難しいものとなる。細胞はDNAを融解する酵素(ヘリカーゼ)と、それと協調的に働くトポイソメラーゼによってこの問題を回避している。トポイソメラーゼは一方の鎖のリン酸の主鎖を切断し、他方に対して回転することができるようにする。ヘリカーゼは鎖をほどき、DNAポリメラーゼのような配列を読む酵素の進行を促進する。
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