核輸送の機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 16:34 UTC 版)
タンパク質は核膜を通って核へ移行する。核膜は、内膜と外膜と呼ばれる同心状の膜から構成されている。内膜と外膜は複数の部位で連結しており、その部位が細胞質と核質との間のチャネルとなっている。これらのチャネルは核膜孔複合体で占められている。核膜孔複合体は核膜を越える輸送を媒介する構造体であり、複数のタンパク質から構成される複合体である。 NLSを持つタンパク質はインポーチンに強く結合し、共に複合体として核膜孔を通過する。この時点でGTP結合型Ran(Ran-GTP)がインポーチン-タンパク質複合体に結合し、インポーチンのタンパク質に対する親和性の喪失が引き起こされる。タンパク質が解離すると、今度はRan-GTP/インポーチン複合体が核膜孔を通って核外へ出る。細胞質のGTPアーゼ活性化タンパク質がRan-GTPをGDPへ加水分解し、Ranのコンフォメーション変化が引き起こされインポーチンへの親和性が低下する。インポーチンは解離し、Ran-GDPは核へ送り返され、そこでグアニンヌクレオチド交換因子によってGDPはGTPへと交換される。
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