木材腐朽菌による被害と防止対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/30 21:01 UTC 版)
「木材腐朽菌」の記事における「木材腐朽菌による被害と防止対策」の解説
住宅や構造物の材料である木材は、腐朽により外見や強度が劣化し、木材の乾燥重量が腐朽により健全な状態の50%以下になると、木材の強度は見込めない。 木材腐朽菌による被害は、床下、浴室や台所などの湿気の多い場所に多いが、ナミダタケのように、土中に菌糸束を伸ばし、土中の水分を吸い上げ、木材を湿らせながら腐朽させる菌類も存在する。また、セルロース等の分解生成物には、シロアリの誘引作用があり、木材の腐朽している部分は、シロアリの被害を受ける可能性が高くなるといわれている。このため、木材の腐朽防止には種々の対策が講じられている。 木材の腐朽防止には、生育条件である水分、温度、酸素、栄養分を調整することや、防腐処理を行う方法がある。その中で、温度および酸素については、人間が生活するため調整が困難であり、腐朽防止には、水分管理(湿度および木材含水率)で乾燥状態を保つことが重要であり、一般的には、木材含水率30%以下の乾燥した木材を使用することや、特に被害を受けやすい床下部分の換気を行うため床下換気口の設置などが有効とされている。また、木材腐朽菌の栄養分となりやすい、木屑や紙片などを放置しないことも良いとされる。 防腐処理は、防腐薬剤を木材表面に直接塗布する方法もあるが、工場で加圧注入により木材の内部まで防腐薬剤を浸透する方法が優れているとされる。構造用製材のJAS規格では、以下の防腐薬剤(JAS規格では、防腐効果と防蟻効果を有するものとして、保存処理薬剤と呼ぶ。)を規定している。防腐効果を期待し、ペンキを塗ることもあるが、褐色腐朽菌にある程度の効果があるが、白色腐朽菌にはあまり効果が無いとされる。 樹種により、腐朽に対する耐久力の差があり、ヒノキ、ベイスギなどは比較的耐久力が強く、アカマツ、ブナなどは耐久力が弱いとされる。
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