木材流送における網場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 04:49 UTC 版)
輸送手段が未発達であった昭和20年代まで、山林から伐採された原木の輸送は、近隣河川を利用する木材流送によるものが殆どであった。上流域の水量が少ない場所では堤(堰)を設けて湛水させ、堤を崩して一気に水流と伴に流し出す「堤流」という方法が一般に行われ、こうした堤は下流に向かって幾つも設けられた。この堤を流し網場と呼んだ(本州では鉄砲堰と呼ばれている)。 中流域以降の水量が多い区間では、自然水勢に任せる「散流(管流、ばら流し とも言われた。)」や筏を組んで流す方法が採られたが、散流の場合は陸揚場所で収集するため、川に一重または二重の網を張って流下してきた木材を滞留させるのが一般的であった。この陸揚場所での網場を陸揚網場と呼んだ。 また、筏組みを行う場合や、流送量の調整など、陸揚網場までの途中で一時滞留するための網場を留網場と呼んだ。 網場の構造は、対岸から流れに鋭角の角度をつけて親綱を張り、親綱に浮材を括り付けて上流から流れてくる材を捕捉して手前岸へ引き寄せるようになっている。木材の流送を行う河川の水量は多いため親綱は太く、旧木曽御料林(長野県)の例ではシラクチヅル(サルナシ)で作られた径20cmの綱4本と6cmの鋼索2本で作られたものが使われていた。また浮材も流れてきた材が潜り抜けないよう各地で工夫が施された。
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