日活・大映
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深刻な客離れにあった日活は、石原裕次郎・小林旭・高橋英樹・渡哲也・野川由美子らを主演にした「擬似東映路線」といえるヤクザ映画を量産したが、いずれも東映ヤクザ映画の人気には遠く及ばなかった。その中で日活を代表するシリーズとしては高橋英樹の『男の紋章シリーズ』、他には、渡哲也の『無頼』シリーズは西脇英夫が「延々とくりひろげられる追っかけ、泥まみれ、血まみれになり、斬られても斬られても立ち上がり、短い、あまりにも短いドスをふりかざしていどんでくる醜悪さ。目を真っ赤に充血させ、鼻の穴をふくらまし、青筋を立てて飛びかかって来る渡の顔には、鶴田浩二の冷ややかさも、高倉健の豪放さもなく、狂気としか言いようのない孤独な寂しさがある」と評するなど、1970年代にはカルト的な人気を博した。 大映は、江波杏子の『女賭博師』シリーズや勝新太郎の『座頭市シリーズ』『悪名シリーズ』がヒットし、東映と競り合った。しかし勝新太郎、市川雷蔵の二人以外に人気男優もおらず、主役を支える脇役もいなかった。『悪名』に出演していた田宮二郎が1968年に大映を離れ、翌年に『若親分シリーズ』の市川雷蔵が病死した頃には苦境に陥っていた。ヤクザ映画ブームの流れに乗り、延命のため「ダイニチ映配」を設立してヤクザ映画を市場へ供給した両社だったが、1971年に大映は倒産。日活も同年からロマンポルノ路線に転進し、石原裕次郎ら主力俳優は日活を離れた。
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