日本語訳聖書における霊性
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「霊性 (キリスト教)」の記事における「日本語訳聖書における霊性」の解説
ウィキソースに新約全書ローマ人への手紙の原文があります。 漢語としての「霊性」は超人的な力能をもつ不思議な性質や聡明な天性、才知、能力を意味したが、そして聖書の日本語訳において「霊性」は、1880年の「新約全書」の中で英語のthe spirit of holiness(聖霊)の訳語として使用された。 明治元訳聖書 日本語訳聖書の訳語としての「霊性」は、1876年(明治9年)より順次分冊刊行し、1880年(明治13年)に完訳した北英聖書會社(スコットランド聖書協会)による『新約全書』(明治元訳聖書)の羅馬書(ローマの信徒への手紙)第1章4「彼は肉体に由ればダビデの裔より生れ、聖善の霊性に由ば甦りし事によりて明らかに神の子たること顕れたり」における「聖善の霊性」に見られる。また1881年(明治14年)に米國聖書會社が訳した『新約全書』でも同様である。 なお、1902年(明治35年)の日本正教会訳『我主イイススハリストスの新約』では「聖善の霊性」は「聖徳の神(しん)」、1917年(大正6年)の大正改訳聖書では「潔き靈」と訳された。 この「聖善の霊性」として日本語に翻訳された原語は、カトリック教会の標準ラテン語訳聖書ヴルガータではspiritum sanctificationis、ギリシア語訳ではπνεῦμα(プネウマ)、英訳では1526年のティンダル訳聖書ではthe holy gooiest、1568年のThe Bishops' Bibleでは the spirite、ジェイムズ王欽定訳聖書ではthe spirit of holinessであり、聖霊、聖なる霊としても訳されているものである。 漢訳聖書 日本語訳聖書に先立って翻訳された1813年のロバート・モリソン(Robert Morrison,馬禮遜)とウイリアム・ミルン(William Milne)による漢訳聖書『新遺詔書』では「聖風」と訳された。さらにメドハースト代表委員会訳が1852年『新約全書』、1854年『旧約全書』が出版されたあとの1863年にブリッジマン・カルバートソン版『新約全書』(美華書局、上海)では「聖徳之霊」と訳された。日本語訳聖書明治元訳を作成するにあたって使われたのはこの上海美華書館発行の1863年ブリッジマン・カルバートソン版であり、明治元訳聖書には漢訳聖書の表記の多くが引き継がれている。その後、1919年の和合本では「聖善的靈」、1968年の思高聖経では「聖的神性」(聖なる神性)、1999年の牧霊聖経では「神圣的神性」(神聖な神性)と中国語に訳されている。
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