日本政府の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 21:10 UTC 版)
外務卿井上馨が示した基本方針の要点は以下のようなものであった。 今般の事変の如きもまた之を公法と情誼とに照らし、宜しく朝鮮政府に責むるに相当の謝罪及び要償を以ってすべくして、未だ之に因りて俄かに兵馬の力を藉り、以って其の国を蹂躙するの極点の処分を施すに至らざるべし。 「問題の解決は公法と両国の友誼に依って為される交渉によって解決するべきで、軍事力を用いて彼の国を蹂躙するような極端な手段を採ることは好ましくない」として、和交を第一義の目標とするように厳命した。 而して朝鮮の現状種々の場合あるに対し我が臨機の処分もまた一様なるべからず。 「様々な事態が予想されるので、朝鮮政府への対処は臨機応変に一様なものであってはならない」として、5つの状況想定を列挙して、その場合に公使が取るべき対応を示している。この中で最悪の想定として「朝鮮政府と乱民が共謀している、若しくは朝鮮政府の示唆・煽動によって公使館員が加害された場合」というものがあり、その場合は補償占領や領土割譲要求などを含めた非平和的解決手段も有り得るとしている。 今日彼の国の情状未だ詳悉ならず。彼の政府の暴徒に於ける関係未だ明瞭ならざる時に於てあらかじめ一概の條疑を定め、必ず之に循由せしめて其の権度を軽重せしむること能わざらしむるは廟議の主意に非ざるべし。 「朝鮮国の内情はまだはっきりとしていない。朝鮮政府がどの程度事変に関わっているのか不明であるのに要求内容を一概に定め、(公使の)要求の度合いを適宜調整する権限を奪うことは廟議の主意にそぐわない」として、公使に交渉における広範な裁量権を認めた。
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