日本屈指のラバーダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 09:24 UTC 版)
「最上川さみだれ大堰」の記事における「日本屈指のラバーダム」の解説
最上川さみだれ大堰の最大の特徴は水位を調節する水門がゴム引布製起伏堰である事、いわゆる「ラバーダム」型式である事が特徴である。ラバーダムとはゴム製の袋に空気を注入・排出する事によって起伏を調節する事で、貯水量を調節する型式の可動堰であり、鋼製の水門に比べ建設費や維持費の上でコスト削減に優れている事も特徴となっている。日本においては日野川の日野川堰(国土交通省中国地方整備局)などで採用されているが比較的小規模なものが多かった。最上川さみだれ大堰はこれらラバーダムの中では日本最大級である。 ラバーダムは空気の出し入れを利用して水位を調節する。最上川さみだれ大堰の場合は管理している国土交通省東北地方整備局・酒田河川国道事務所の堰管理所より起伏を遠隔操作する。堰の真下の地中に空気圧を調整する気閘室(きこうしつ)を設置し、そこから空気を給排気管を通じてゴム内部に給気・排気することでゴムを膨らませたり、萎ませたりする。農繁期の5月~9月は空気を膨らませ、農閑期の10月~4月にはゴムは萎ませる。一回のゴム起伏に掛かる時間は約3時間である。 ゴムが最大限に膨張した際の高さは約2.7mにもなる。だがゴムが萎んでいるときは河床の高さと全く同じ高さであり、一見するとただの橋にも見える。またゴムの先端部には「フィン」と呼ばれる突起があり、この突起によって流水によるゴムの振動を防ぎ安定した水量維持を図る。こうしたラバーダムを採用した結果総工費は鋼製の堰に比べて大幅な節減が可能となり、約150億円で完成する事が出来た。また、河川生態系への影響を最小限に抑える効果も期待されている。
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